便秘の原因

どうして症状が起こるの?

便通は本来、毎日あるのが健康な状態です。3日以上なかったり、便が硬くて量が少なく残便感があったりする状態を便秘と呼びます。女性に多く、排便が困難になるほか、腹痛、腹部膨満感、食欲不振などの症状もあらわれます。肌荒れや肩こりなど、全身に影響が出ることもあります。

腸のはたらきと排便のしくみ

胃や小腸で消化された食物は、水分の多いどろどろの液状となって大腸に入り、ゆっくりと水分が吸収されて固形化(便塊化)し、肛門へと送られます。もし便塊が何日も大腸内にあると、水分吸収はさらに進み、便塊は硬く小さくなります。

腸の動きは、自律神経に支配されています。便を体外に送り出すためのぜん動運動(=腸のくびれが肛門方向に伝わっていくこと)は、胃に食物が入ると指令(=胃・結腸反射)が出て始まります。そして、便が直腸に達すると大脳に指令が送られ、便意をもよおします(=排便反射)。ストレスにさらされると、自律神経がうまくはたらかないため正常な腸のぜん動運動が起こらず、便が滞って便秘につながることがあります。

腸のはたらきと排便のしくみ

便秘の種類と原因

便秘の原因は、人によって異なります。分類すると、機能性便秘3種類と器質性便秘の計4種類に分けられます。症状に合った対処をするためにも、自分の便秘の種類を把握しておきましょう。

機能性便秘

[弛緩性便秘]=大腸の運動が低下

腸管の緊張がゆるんでしまい、ぜん動運動が十分行われないため、大腸内に便が長くとどまり、水分が過剰に吸収されて硬くなるタイプ。便秘の中でも頻度が高く、女性や高齢者に多い。
おなかが張る、残便感、食欲低下、肩こり、肌荒れ、イライラなどの症状も起こる。
運動不足、水分不足、食物繊維不足、腹筋力の低下、極端なダイエットなどが誘因に。

弛緩性便秘

[けいれん性便秘]=大腸の過緊張

副交感神経の過度の興奮によって腸管が緊張しすぎてしまい、便がうまく運ばれずに、ウサギのフンのようなコロコロとした便になるタイプ。食後に下腹部痛、残便感などの症状があることも。また便秘と下痢を交互にくり返すことも多い。
精神的ストレス、環境の変化、過敏性腸症候群などが誘因に

けいれん性便秘

[直腸性便秘]=直腸に便が停滞

便が直腸に達しても排便反射が起こらず、直腸に便が停滞してうまく排便できなくなるタイプ。
高齢者や寝たきりの人のほか、痔や恥ずかしさなどにより排便を我慢する習慣がある人に多い。

直腸性便秘(習慣性便秘)

器質性便秘

イレウス、大腸がん、腸管癒着などの器質的な原因があって、消化管(小腸・大腸)に通過障害が起こるタイプ。血便、激しい腹痛、嘔吐などがあればすぐに病院へ行きましょう。このような便秘では腸管穿孔を起こすおそれがあるので下剤を使用してはいけません。

女性に便秘が多いわけは?

日本人女性の半数以上に便秘の症状がみられるといわれます。男性に比べ、女性が便秘になりやすい理由は、いくつかあります。

身体的理由
男性に比べると、女性は腹筋が弱いため、大腸が便を送り出す力が弱い
ホルモンの作用
女性ホルモンのひとつ「黄体ホルモン」がからだに水分や塩分をためこむように指示を出し、大腸の腸壁から便の水分が吸収されて便が硬くなる。また、「黄体ホルモン」は妊娠したときに、流産しないように子宮筋の収縮を抑制するはたらきもあり、それが腸にも影響してぜん動運動を低下させる。特に「黄体ホルモン」が多く分泌される月経の前や妊娠初期には便秘になりやすい
無理なダイエット
食事量を減らすことは食物繊維や水分、脂肪分を減らすことになるので、ぜん動運動などにも影響がおよび、便が硬く、排出されにくくなる
精神的な理由
女性は忙しさや人前での恥ずかしさのためにトイレを我慢することも多く、旅行など環境の変化によるストレスの影響も受けやすい

薬剤が原因の場合や隠れた病気があることも

日薬剤の影響により腸のぜん動運動などが抑制されて便秘になることがあります。

便秘の原因となる主な薬剤 便秘を起こす主な作用
麻薬系の鎮痛薬(モルヒネ)、鎮咳薬(コデインリン酸塩水和物)など 腸のぜん動運動を抑制
抗コリン薬(気管支拡張薬、鎮痛薬など)、抗ヒスタミン薬、向精神病薬、抗うつ薬、抗パーキンソン病薬、抗不整脈薬 消化管の緊張を低下
降圧薬(Ca拮抗薬) 消化管運動を低下
制酸薬、鉄剤、収れん薬(ビスマス製剤)など 収れん作用(皮膚や粘膜のタンパク質と結合して、保護膜を作る作用。粘膜への刺激が弱まり、腸のぜん動を抑える)

そのほか、糖尿病や甲状腺機能低下症などの全身性疾患が原因で便秘になることもあります。

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